東海道・山陽新幹線の自由席は、指定席料金やのぞみ料金が不要ですが、何も対策を取らなければ座ることができるとは限りません。
ただ、安くはない新幹線特急料金を払って乗車するので、どうせなら座りたいと思うのは当然でしょうが、のぞみ号やひかり号の自由席は、1編成あたり3両~5両と、決して多いわけではありません。ここでは、座れるとは限らない新幹線の自由席(主にのぞみ号、ひかり号)について、様々な根拠をもとに、少しでも座れる確率を上げる方法について徹底的に紹介していきます。
目次
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う新幹線自由席の現状(2022年6月)
2022年6月現在、新型コロナウイルスによる感染症拡大の影響を大きく受け、東海道・山陽新幹線をはじめとした新幹線各路線では、個人の旅行控えや、企業活動のリモートワーク化などによる出張の減少等の理由により、比較的空いている状況が続いています。
しかし、2020年から2021年のように常時空席だらけというわけではなく、利用客は着実に戻ってきており、2022年時点ではGWなどの最繁忙期には指定席が満席となっていることから、金曜日や連休などの繁忙期には自由席も比較的混雑しているものと思われます。
そもそも新幹線の自由席とは何か?
まず、新幹線の自由席とは何かについて説明します。
自由席と聞いて勘違いしてはいけないのは、「自由席のきっぷを持っているんだから、列車内の座席のどこに座っても自由だ!」というわけではありません。
自由席の言葉の意味としては、列車の中の一部の車両が「自由席車両」という設定となっており、その車両の中であればどの座席でも座ってよい、ということです。ただし、自由席車両が満席で座れなかったとしても、それに対する救済はありませんので、それでもその列車に乗るのであれば、デッキや通路に立って乗車するしかありません。
この点が確実に座ることのできる指定席との大きな差であり、ほぼ唯一の差となります。
指定席と自由席で、座席のグレードに差はあるのかというのも気になるポイントですが、東海道新幹線だけを使うのであれば、座席グレードには全く差はありません。以下に座席グレードの差のある列車をまとめましたが、すべて山陽・九州新幹線の列車となります。
指定席と自由席で座席グレードに差がある列車
- 山陽・九州新幹線「みずほ」
- 山陽・九州新幹線「さくら」
- 山陽新幹線「ひかりレールスター」
- 山陽新幹線「ひかり(N700系8両編成)」
山陽・九州新幹線の「みずほ」「さくら」「ひかりレールスター」は、指定席と自由席で座席グレードに差がありますので、確実に席が取れて座席も良い。ということで、指定席には人気が集中します。
また、一部の「ひかり」には、「みずほ」や「さくら」と同じN700系8両編成の車両が使われていますので、その場合にも差が発生します。
自由席は、指定席のように列車を指定する必要がありません。よって、自由席の券面に書かれている区間を移動するのであれば、どの列車に乗っても構いません。列車の種別も問わないため、のぞみ号でもひかり号でも、こだま号に乗っても構わないということです。ただし、東北・北海道や北陸新幹線の一部列車のような「全席指定」の列車には乗車することはできません。
乗車日だけは指定する必要がありますが、その日の列車であれば、どれに乗っても構わないので、時間的な制約を受けることがありません。指定席のように列車の出発時間を気にしなくてもよいため、特に列車の始発駅から乗車する場合には、都合がよいこともあります。
自由席を利用する場合の最大のメリットとして、座席指定のための料金がかからないという点があります。
座席指定には閑散期でも330円、通常期は530円、繁忙期には730円もの追加料金がかかり、更にのぞみ号やみずほ号(山陽区間のみ)では「のぞみ料金」までかかってくるため、追加で1,000円以上の出費となることもあります。自由席を使えば、のぞみ号に乗車してものぞみ料金はかかりません。
このように、自由席は使い方によってはとても便利であり、かつ金額的にも安く済むことから、使わない手はありません。ここでは、特に東海道新幹線の自由席の座り方について解説していきます。
新幹線の自由席車両の位置について
ここでは、東海道・山陽新幹線の列車種別ごとに自由席車両の位置について説明します。
自由席はこだま号を除き、博多寄りの車両に固まって設けられています。速達列車ほど自由席車両は減ることから、基本的には速達列車ほど自由席の乗車率も高くなる傾向にあります。
「のぞみ号の自由席車両の位置」→1号車~3号車
「ひかり号の自由席車両の位置」→1号車~5号車
「こだま号の自由席車両の位置」→1号車~7号車,13号車~15号車(※)
※こだま号は日によって13~15号車の一部が指定席となる場合あり。
※一部のこだま号は普通車全車自由席となります。
「みずほ号の自由席車両の位置」→1号車~3号車
「さくら号の自由席車両の位置」→1号車~3号車
「つばめ号の自由席車両の位置」→1号車~3号車
「ひかり号の自由席車両の位置」→1号車~3号車
「こだま号の自由席車両の位置」→1号車~5号車,7,8号車
※山陽新幹線のこだま号は日によって4~5号車の一部が指定席となる場合あり。
こう見るとよく分かりますが、のぞみ号はなんと16両編成のうちの3両。ひかり号では5両しか自由席がありません。逆に、こだま号は8~12号車が指定席(グリーン含む)で、自由席が大半を占めていることがわかります。
新幹線各駅におけるのぞみ号、ひかり号自由席着席のポイント
以下の記事で、自由席に座るために、主要駅の乗降の傾向や自由席の取りやすさなどを、方向別にまとめました。東京方面(上り)新大阪・博多方面(下り)で個別に記事がありますので、参考にして頂ければと思います。
自由席利用の実践的テクニックいろいろ
時刻表からは、様々な情報を得ることができます。以下のような時刻表を例に、乗る列車を予習しておきましょう。そもそも読み方がわからない方もいると思うので、見ながら確認していきましょう。
ちなみに時刻表は、「JR東海 東海道・山陽新幹線時刻表」というアプリから閲覧することが可能です。
まず、①の部分は、列車番号と発車番線です。
列車番号による違いについてはこちらを参照してください。発車番線については、東京駅はホームが複数本あり、発車する番線には特に規則性が見られません。
自由席に並ぶには、狙う列車を決めて乗車するホームを把握することが重要です。「②」の部分は、運転日です。臨時列車の場合、ここをしっかり見ておかないと実は運転日じゃなかった…という事になりかねません。
この時刻表を見て、どの列車に狙いをつけるかを検討します。
- のぞみ201号→直前の「のぞみ」が6時30分発で13分も空いている
- のぞみ305号→臨時かつ前の「のぞみ」が4分前なので、運転日さえ合えば第一候補
- のぞみ7号→博多までの長距離「のぞみ」なので回避
- のぞみ203号→定期列車で7時ちょうど発なので混雑する可能性
今回のケースでは、「のぞみ305号」の運転日ならそれを利用し、次点は「のぞみ201号」でしょうか。両方とも運転しない日であれば、「のぞみ203号」でしょうが、そんな日は自由席の取り合いに発展するほどの混雑はないと思います
新幹線で、混雑する日というのは大体決まっています。以下に該当する日は、自由席が満席となって座れない可能性が高くなります。
※上り=東京方面、下り=博多方面
- 大型連休(年末年始、GW、お盆等)初日、もしくは前日の夕方以降の下り
- 大型連休後半の上り
- 金曜日夕方以降の下り
- 土曜日午前中の下り
- 日曜日夕方以降の上り
- 月曜日朝の上り
例えば、やむを得ず大型連休初日に自由席で移動しなければならないのであれば、午前中は避け、夕方以降に移動することで、大混雑を避けることができるかもしれません。
当然の事ですが、列車の始発駅から乗車するのであれば、列車が到着した時点で誰も乗っていません。
だいたい1車両に80~100人着席できることを考えると、各車両には乗車口が2つあるため、始発駅では列の前から40~50番目がボーダーラインです。それ以降になってしまったら、別の列車を狙いましょう。年末年始やGWなど、超繁忙期は始発駅以外ではほぼ100%着席は不可能です。
列の先頭から30人あたりまでに並んでいれば座れる可能性は非常に高くなります。 始発列車のたくさんある東京駅や新大阪駅は自由席争奪戦に有利といえるでしょう。
ただし、注意しなければならないのは、始発駅にはホームがたくさんある。という事です。
東京駅は下り方面にホームが3本。新大阪駅でも、主に東京行きに使われるホームは3本あります。自由席の並び列は、階段から遠いところにあるので、ホームに上がってから並び具合を見て別のホームに移動するということになると、非常に大変です。予め時刻表をチェックし、余裕を持ってホームに上がり、列車を待つことが重要です。
東京駅は全列車が始発列車なので分かりやすいですが、じゃあ新大阪駅はどうなの?という方が多いので、以下の記事で新大阪駅が始発となるのぞみ号が毎時何分発なのか?という部分について解説しています。良かったら参考にしてください。
乗ろうと思っていた列車のホーム上に、既に長い列(30人を超えるような列)ができていた場合、確実に座りたいのであればその列車は諦めて次の列車を狙いましょう。通常の時期ならばほとんど並んでいないはずです。 超繁忙期にはあまり役に立ちません。
実は1時間に1本、東京⇔名古屋ではのぞみを退避しないひかりが走っています。ひかり号の自由席は5両あるため、のぞみ号より座れる確率は高くなります。
同じように、名古屋⇔新大阪でも、同じようにのぞみを退避しないひかりが走っていましたが、2020年のダイヤ改正で京都で待避が入るようになりました。とはいえ、そこまで大きなタイムロスではありません。
東京基準でみると、東京を毎時33分に発車する「ひかり」は、名古屋まで退避がありません。
ひかり号については、以下の記事でもいろいろと書いています。
抜かれない「ひかり」の一覧は、以下の記事で紹介しています。
上で説明したように、「こだま」の自由席は1~7号車までと13~15号車で、大半の座席が自由席です。また、長距離を移動する旅客は各駅停車しかない「こだま」を避けます。到着時間を時刻表で確認したうえで、「こだま」を利用するのも、自由席で座っていきたい人にとっては重要な作戦と言えます。
延々と「のぞみ」を待ち続けてやっと乗れたと思ったら、実は「こだま」に乗っていた方が早かったりするかもしれません。ですので「時刻表」は必ず確認しておきましょう。
ちなみに東京⇒名古屋をこだまで移動すると所要時間は3時間弱。東京⇒新大阪であれば、所要時間は4時間弱となります。
編成単位だけでなく、同じ号車でも階段から遠い方が有利です。
階段から遠くなればなるほど、並ぶ列は少なくなります。また、降りるお客さんは、階段に近い乗車口から降りるので、同じ号車でも階段から遠い乗車口を選ぶと、乗り込めるのが早くなります。
のぞみ号の号車別の自由席数は次の通りです。
1号車→13列*5→65席
2号車→20列*5→100席
3号車→17列*5→85席
1号車の方が並ぶ列は少なめですが、やはり35席の座席数の差は大きいです。3号車は、基本的に最も階段から近い自由席車両であることから、比較的不慣れな人が多く並ぶ傾向があります。よって2号車の階段から遠い乗車口で並ぶのがベストで、1号車の並び列と比較しながら使い分けることが有効です。
長距離列車、例えば東京発博多行の列車の場合、目的地が名古屋であろうが大阪であろうが博多であろうが、同じ列車で目的地に到達できるので、混雑率は上がります。
一方で、東京発新大阪行の列車であれば、基本的に目的地が新大阪までの間にある人しか乗車しないため、混雑率は長距離列車と比較すると低くなる傾向にあります。
ただし、東京~名古屋・大阪でのビジネス利用が多い東海道新幹線で、これが当てはまるのは主に休日や行楽シーズンなど、遠方への旅行客が多い日が中心です。
ビジネス利用の需要の主体は圧倒的に東京~新大阪間ですので、平日に関しては「とにかく先に出る列車の列」が最も伸びていることが多いです。
「6時47分の列車」か、「7時ちょうどの列車」ならどちらが覚えやすいでしょうか。
多分後者だと思います。ただ、差が出るほどの違いかと言われればどうなんでしょう…。推測ですが、差が出るんじゃないか?ぐらいな感じです。
ちなみに、東京駅毎時10分発は博多行の列車であることが多いのですが、これはもともと00分発だったところ、混雑から10分発に変更した…という噂話を聞いたことがあります。
金曜日の夜に東京駅から突発的にのぞみ号の自由席に乗車してみた
コロナ前夜で新幹線が非常に混みあっていた2019年9月6日(金)の夜、指定席が取れずに。いや、厳密にはB席しかなかったため、突発的に東京駅から下りの自由席に乗ってみました。
折角なので軽くレポートしてみます。なお、列車番号は当時のままです。
私が乗車したのは、17番線から発車する「のぞみ253号」でした。2号車の前方のドアという鉄板の位置に並びましたが、18時40分の「のぞみ251号」が発車する少し前から並び始めました。その時点で並び列は10名程度と、余裕で窓側E席がゲットできる算段が立つ程度です。
隣の16番線には、18時50分発の「のぞみ59号」の列が長く伸びていましたが、見えた限り全員が着席できていたように思います。品川から先はどうなったのでしょうか。
また、今更気が付いたのですが、この時間帯は、16、17番線は「定期のぞみ」ばかりで、臨時列車はだいたい18、19番線でした。ホーム選びから失敗したなぁ、と思ったら、案の定失敗していました。
さて、列に並び始めてから、自分の失敗に気が付きます。
向かい側の18番線に停車している列車が見えたのですが、既に座席は大阪方を向いているのにガラガラです。俺は一体なんでクソ暑い中並んで待っているんだろう…。
この列車の正体は18時53分ののぞみ409号でした。恐らく出庫運用で、折り返し清掃もなく入線後に即乗車可能だったのでしょう。程なく17番線に折り返しのぞみ253号となる列車が入線したため、発車の様子はわからなかったのですが、乗車率はどうだったのでしょうか。
時刻表では、のぞみ409号の6分前に、隣の19番線からのぞみ407号が出ているということもあり、臨時列車であり、発車間隔が短いという条件を満たしていることから、ある程度空席はあったのではないでしょうか。
計画的に自由席を使うなら、のぞみ409号で間違いなかったでしょう。
教訓としては、金曜日の18時台に自由席を使うなら、18・19番線がおすすめ。ということですね。
【参考】東京駅18時台の「のぞみ」発車番線
※13分発は日によって行先が変わるので注意
- 18:00 のぞみ121号(岡山行 定期)18番線
- 18:10 のぞみ57号(博多行 定期)16番線
- 18:13 のぞみ193号(博多行 臨時)19番線
- 18:13 のぞみ403号(新大阪行 臨時)19番線
- 18:20 のぞみ249号(新大阪行 定期)17番線
- 18:23 のぞみ405号(新大阪行 臨時)18番線
- 18:30 のぞみ123号(広島行 定期)16番線
- 18:40 のぞみ251号(新大阪行 定期)17番線
- 18:47 のぞみ407号(新大阪行 臨時)19番線
- 18:50 のぞみ59号(博多行 定期)16番線
- 18:53 のぞみ409号(新大阪行 臨時)18番線
- 19:00 のぞみ253号(新大阪行 定期)17番線
のぞみ409号を恨めし気に見送った後、ようやくドアが開き、乗り込みます。まぁ色々ありましたが、10番目だったので余裕でE席をゲットできました。下手に指定席でB席とかにしなくてよかったと思う瞬間。
東京駅を発車するときには、ほぼ満席でした。B席に数席空きがある程度でしょうか。
品川では数人程度しか自由席には乗り込んできませんでした。取れないことが分かっているからでしょうか…。運の良い人は、ポツポツと空いている座席に座れますが、複数人で乗車してきた人は、諦めて通過していきます。
品川を出ると、デッキに立ち客多数という放送が入ります。
新横浜では、新幹線通勤客なのか3名ほど下車していきました。新横浜からも自由席は基本的には諦めモードの人が多く、並び列は各箇所5名ほどでした。運よく座れた人もいたようです。
新横浜から先も、デッキに立っていた人はいたようです。金曜日の夜という悪条件では、東京駅からじゃないと自由席はほぼ無理だということがよく分かりました。「のぞみ10本ダイヤ」でこれですからね。
繁忙期の混雑は、きっとこの比ではないでしょう。
自由席にはたとえ座れなかったとしても泣かない
ここまで、新幹線の自由席にできるだけ高い確率で座るためのコツを紹介してきました。これらのコツは、知っているのと知らないのとでは大違いではあるのですが、 正直、自由席に座れるかどうかなんて時の運じゃないかと考えています。
特に、新幹線が混雑する時期に関しては、このページに書いてあることを余さず実践しても焼け石に水。やっぱり座れないということはあると思います。
小さいお子様連れ、お年を召された方と一緒になる、などという方は、自由席が取れるかを心配する前に、指定席とかグリーン席を抑えた方が幸せになれると思います。
自由席と変わらない値段で指定席に乗れるのがネット予約
自由席は冒頭に書いたように、コストが安く、時間に縛られず、駅に行ったときに発車する列車に飛び乗れる柔軟性の高さから、特に本数の多い東海道新幹線では役に立ちます。
ただ、「満席でも立ち席でいい!」という覚悟が必要になります。
東海道・山陽新幹線には便利なインターネット予約があります。特に、エクスプレス予約では、自由席と同じか安い金額で指定席が予約できるので、もし自由席の争奪戦に疲れた…という方がいらっしゃれば、検討してみても良いかもしれません。
東海道・山陽新幹線のインターネット予約については、以下に記事を書いていますので、参照して頂ければ幸いです。
新幹線といえば、短い所要時間で遠くまで運んでくれる乗り物だから、座席に座ることができなくても我慢ってできると思う。まあ、乗車時間が30分とかだったら立ち席でも我慢ってできると思う。(例えば京都ー名古屋の間だけを乗車する)