新型コロナウイルスの勢いは、新年度を迎えようという今もなお、衰えることを知りません。
私も甘い考えのもと、3月下旬に旅行のための新幹線を予約していましたが、泣く泣く予定をとりやめ、キャンセルする羽目となりました。
旅程としては東海道新幹線と東北新幹線を乗り継いで利用する予定だったため、「エクスプレス予約」と「えきねっと」を利用していたのですが、そこでの払い戻しの対応方法に雲泥の差があったので、この記事で紹介しようと思います。
目次
通常、新幹線のきっぷを払い戻しをする場合、所定の払い戻し手数料が必要です。細かい話をすると長くなるので割愛しますが、ここに書いてある通り、場合によってはそれなりの金額になることもあります。
しかし、JR各社では、相次ぐイベント中止や外出自粛要請などを考慮し、新型コロナウイルスを原因とする旅行の取りやめについて、2月末頃からは一律で手数料を収受せずに対応をすることとしました。
払い戻し手数料を収受しない動きは、インターネット予約でも同じで、 「エクスプレス予約・スマートEX」と「えきねっと」の両サービスともに、早々に手数料なしでの払い戻しに関する案内が出されました。いずれもインターネットで列車を予約できる便利なサービスですが、新型コロナウイルスによる対応は、両者で大きく異なりました。
ここでいきなり結論書いてしまいますが、エクスプレス予約・スマートEXは、インターネットからものの1分程度で払い戻しが完結したにも関わらず、えきねっとに至っては、今日、まさに今に至るまで払い戻しができていません。それほどまでに対応が違うという事に驚きを隠せないとともに、えきねっとで宙ぶらりんになっている予約をどうしようかというのが、今でも悩みの種です。
どうしてここまで差がついてしまったのでしょうか。まずは「エクスプレス予約・スマートEX」の払い戻し方法について見ていきます。
エクスプレス予約では、この対応を始めた時から、会員ページに「重要なお知らせ」を掲示しており、その掲示がある期間においては、一律無手数料で予約の払い戻しを受け付ける旨の対応を始めました。
エクスプレス予約からの払い戻しは、Webブラウザからのログインでも、アプリからでも行うことができます。ここでは、利用している方が多いと思われるアプリ版の払い戻し方法について案内します。
本当に払い戻して大丈夫かどうか不安な方もいると思いますが、実際に払い戻しまで行って手数料は0円であることを確認しています。
手順1 アプリからログインし「予約済み一覧」を選ぶ
手順2 予約済み一覧から払い戻したい新幹線を選ぶ
手順3 内容を確認して「払戻」を選択する
手順4 「払戻を続ける」ボタンを選択する
「この操作には、ただいま払戻手数料はかかりません」と表示されています。無手数料で払い戻しされることで間違いないことを確認します。
手順5 「この内容で払戻する」ボタンを選択する
手順6 完了!無手数料で払い戻しされていることを確認する
予約一覧からも予約が消えます。
たったこれだけで、払い戻し手続きが無手数料で完結しました。スマホのスクリーンショットの時間を見ると、かかる時間はわずか1分でした。
無事に東海道新幹線の払い戻しを1分程度で済ませ、今度は東北新幹線等の払い戻しを行います。
えきねっとにログインし、払い戻しの操作を行いますが、エクスプレス予約とは違って様子がおかしいようです。画面には普通に「払戻手数料がかかります」と書かれています。
何かの間違いかと思って先に進めていくと、どうもこれが最後の画面のようです。そして散々念を押すかのごとく出てくる「払戻手数料が必要」というメッセージ。しかも、これで完了し、取消できないと書かれている。何かマズいと感じたので引き返す。えきねっとの払い戻しも無料だと聞いていたのに、どうなっているのか?
調べていくと、インターネットから払い戻しをすることはできない。ということがわかりました。ネット予約なのに?
新型コロナウイルスの影響により、えきねっとの予約をキャンセルするためには、えきねっとQ&A よくあるご質問 に従っていくと、2通りの払い戻しがあることがわかります。 いずれの方法も、インターネットでは完結しません。
えきねっとの予約を発券していない場合は、この方法に誘導されます。QAには、次のように書かれています。
お手数ですが、会員ご本人様より「えきねっとサポートセンター」までご連絡ください。なお、現在、お電話が大変繋がりにくい状況となっております。誠に申し訳ございませんが予めご了承を賜りますようお願い申し上げます。
えきねっとQ&A よくあるご質問
そもそもインターネットから予約を無手数料でキャンセルできない時点で正直「アホか」という思いが強いのですが、「お電話が大変繋がりにくい状況」とか、当たり前でしょう。
ネットで大量に予約を取っておきながら、「無手数料でキャンセルしますよ。でもインターネット経由でそれはできません。受付は電話でしかできません。」とか、繋がらないに決まってる。
ちなみに、電話する先はフリーダイヤルではないため、当然、繋がらない間の電話料金はこちら持ちとなります。いや、手数料払ったほうが安いんじゃね?それは。というわけでこの案は却下。次の案を探す。
えきねっとの予約を発券した場合は、この方法に誘導されます。ただし、方法1の電話があまりにも繋がらないせいでクレームが爆発しているのか、QAには、次のように書かれています。
また、駅(※)のみどりの窓口までお越しいただけるお客さまは、駅でお取扱いいたしますので、お申込み時点でのクレジットカードをお持ちのうえ、係員にお申し付けください。※JR東日本、JR北海道、JR西日本エリアの一部駅
えきねっとQ&A よくあるご質問
方法としては簡単で、えきねっとの予約を発券できる券売機などで発券し、それを窓口に持って行くだけです。
ただし、最大の問題は、「 えきねっとの予約を発券できる券売機などで発券し、それを窓口に持って行くだけ 」という部分です。
えきねっとはJR東日本とJR北海道のサービスなので、当然ですがJR西日本の一部を除いたJR東海、JR西日本、JR九州、JR四国では受取サービスの対象外となります。インターネット予約なので、全国どこでも会員になれて予約ができるのですが、物理的にきっぷを受け取ることができるのは、JR東か北海道のエリアに限られます。
つまり、方法1において、電話をかけ続ける不毛な作業をしたくなければ、発券して窓口で払い戻しという方法2を使いたいのですが、それは前述の通り、JR東日本か北海道のエリアの在住者に限られます。エリア外であれば、手数料よりカネがかかるかもしれない電話をかけ続けるか、諦めて払い戻し手数料を払うという選択肢しかないのです。
結局、私はまだ「えきねっと」の予約を、先延ばしにしつつ保持しています。だって手数料取られるの悔しいし…。
ここまで、エクスプレス予約とえきねっとの払い戻し対応について見てきました。エクスプレス予約が僅か1分でスムーズに無手数料で払い戻しができることを考えると、「えきねっと」の対応はあまりにも弱い。と言わざるを得ません。
インターネット予約というのは、地方に関係なくユーザーになることができるのが最大のメリットです。また、JRとしても、インターネット予約で乗車券類を発売したときに、他社の窓口で自社分を発売してもらう時のように発券手数料を支払う必要がなく、JRもユーザーもWin-Winな関係を築くことができるシステムです。だからこそ、「何度でも変更が無料!」などの付加価値をつけてサービスしているのでしょう。
しかし、今回のコロナ禍では私をはじめ、多くの地方ユーザーの反感を買っているでしょう。どうせ「トクだ値(えきねっとで買える割引きっぷ)」なんて取れないし、緊急時の払い戻しも面倒くさいのでは、次からは面倒の無いように、地元の駅できっぷを買おう。という事にも繋がりかねません。
そもそも、インターネット経由で無手数料で払い戻しをする、というロジックを「えきねっと」に組み込むことが、そこまで難しいことだとはとても思えません。カネにならない話で乗り気ではないのかもしれませんが、JR東日本には、えきねっとのユーザーインターフェースも含めて、早急に改善をお願いしたいところです。