新幹線での新型コロナ感染リスクは?

3月13日から新幹線でもマスク着用緩和へ。徐々に車内も日常へ

政府の方針を踏まえて新幹線内の車内ルール見直しへ

2023年3月13日より、屋内・屋外を問わずマスク着用を「個人の判断」とする政府の方針が示された。これにより、東海道新幹線を運営するJR東海でも、新幹線車内でのルール見直しを実施する。

もともと、マスク着用は「義務」ではなかったのだが、駅や車内で口酸っぱく着用を「お願い」されていたことから実質的に義務化されていた。これが屋内外含めて個人判断でよくなるという事がようやく政府方針として示されたことで、このタイミングでJRとしても煩わしい呼びかけをする必要もなくなったということだろう。

これらの対応を受け、マスクを外して乗車する人も当然増えるだろうし、依然としてでマスクを着用する人は数多くいると思うが、これらは「個人の判断」であって、マスク着脱を他人に強制することは政府方針に反することになる。仮に近い席に自身と考えの違う人がおり、どうしても我慢できないということであれば自ら座席を移動したりする対応が必要になるだろう。

3月13日から変わる点・変わらない点について

(変更点①)マスク着用を呼びかける車内放送の廃止

すっかり定形化した「マスク着用」を呼びかける車内放送は取りやめとなる。また、新幹線車内での「会話を控えめに」という車内放送も取りやめとなる。

(変更点②)マスク着用を呼びかける案内文の削除

HPなどに掲載された「マスク着用」を呼びかける案内文は無くなる。

(変更点③)座席を回転しての利用が可能に

新幹線の座席は、180度反転して後ろの座席と向かい合わせにすることができるが、これも会話を誘発するということからコロナ禍で使用停止が求められていた。これも3月13日からは使用できるようになる。

(変わらない点)乗務員・駅係員は引き続きマスク着用

乗客は「個人の判断」でマスクを着脱可能であるが、接客を行う駅係員や乗務員については、引き続きマスク着用を継続する。とのこと。

マスク着用に関する個人的な意見

3月13日からは基本的に乗客のマスク着脱について、鉄道会社は関与しなくなることになる。記事の文量が少ないので、最後に個人的なマスク着用についての考えを書いてみようと思う。

マスク着用に効果はあったのか

日本でのマスク着用は、新型コロナの流行期である2020年2月ころより急速に進み、1か月程度で「国民総マスク」といえる状況にまでなった。当時としてはまだ未知の病気であり、著名人の死去などセンセーショナルなニュースも世間を騒がせ、新型コロナウイルスは「死をもたらす恐怖のウイルス」として国民を震え上がらせた。

確かにその当時であれば、正体不明の未知のウイルスから身を守るためにできる対策は全て行うべきで、マスク着用についても大きな抵抗はなかった。

それが2021年、2022年と進み、次第に新型コロナウイルスの正体が分かってきたにも関わらず、日本人は頑なにマスクを信じて着用し続けた。2020年当初の日本では新型コロナウイルスの広がり具合が鈍く、日本の対策が成功したと盛んにメディアで叫ばれていたことも関係しているだろう。

そしてご存じの通り、国民総マスクの日本では2021年から2022年にかけて、デルタ株・オミクロン株(およびその変異株)による新型コロナの大感染が発生した。結局国民総マスクであろうがなかろうが、感染症はきっちり過去の例に倣ってまさに感染の「波」として日本に襲い掛かったのだった。

マスクは発症者の飛沫を防ぐためにはある程度効果を発揮したに違いないが、健康な人も含めて「1億総マスク」を3年も続けたのは、効果の割に対策としては不十分だったといえる。専門家たちはマスクの効果について熱弁していたが、それは「正しい着用」をした前提ということがあまり報じられなかったように思う。具体的には、マスク着用時にマスクをずらす、触れるなどの行為はすべて不適切な着用方法であり、その場合はマスクを交換するなどの対応が必要になってくるのだが、医療機関ならともかく一般人がそんなことをやっていたかと言われればNOである。つまり、正しい着用方ができないのに格好だけ真似ているものに、そこまでの効果は見込めないだろう。

マスク着用に「政府が口出しするな」という意見について

ネット上の意見を見ると、そもそも「政府がマスクの着用に注文を付けるのはおかしい、これまでも自己判断だ」という意見をよく見かけるが、これは大きな間違いだと思う。政府がこのような判断を下したのは、(遅きに失しているが)正しいことだろう。

これまでも自己判断であったことに間違いはないのだが、日本人の国民性としては周囲との歩調を合わせ、可能であれば波風を立てたくない。という人間が多いように思う。というかほぼ間違いないだろう。

1億総マスクの時期に、「自己判断で」マスクを外して人前に出ていた人は周囲から奇異な目で見られていただろう。かくいう私もその一人で、マスクを外している人を見つけると、自然に距離をおいてしまうようになった。マスクをすることが日本人の中である種の「常識」となってしまい、マスクを外している人がいわゆる「常識外れ」という認識に、いつの間にか変わってしまっていたのだ。そしていつしか、感染症予防のためではなく周囲の視線から自分を守るためにマスクをするようになった人も多いのではないだろうか。

このような状況で硬直し、一度刷り込まれた認識を元に戻すのは自然の状態では難しい。つまり、政府による「お墨付き」があれば、この硬直は打破できる可能性があるのだ。それが今回の記事で書いたような新幹線車内でのマスク着用緩和の動きにも繋がっている。

冒頭のような「これまでも自己判断だ」という意見を述べる人は、決してこれまで自己判断でマスクを外していた人ではなく、これからも「自己判断で」マスクを着け続ける人の主張がほとんどであるように思う。なぜなら、現在の状況でマスクを着用せずに周囲の視線を浴びることはあれど、マスク着用を続けるのであれば批判を浴びることはないからだ。そういった人たちにとって、現状の「自己判断」という言葉は実に都合がいいものである。

まとめ

まず、今回の政府の判断は遅きに失したとはいえ、ある程度の評価はできるところだと思う。これで健康な人も含めた1億総マスクといった状況はある程度緩和できるように思う。私のようにコロナ騒ぎまでマスクなどほとんど着用したことが無かった人間には、歓迎できる状況だ。

しかしJRの例でも、乗客側は自己判断で着脱可能となるが引き続き駅係員や乗務員はマスク着用が会社によって定められるというのはどうなのだろうか。JRに限らず接客業であればそのような対応をとるところが目立つ。政府方針でも、企業がマスク着用させることは許容するとのことなので、それに従った形ではあるのだろう。

接客業といえば、以前は逆に「マスクで接客など失礼だ」といって、頑なにマスクを着用させなかった企業もあったのは記憶に新しい。単純にこのような対応をとる理由としてはたちの悪いクレーマー対策なのだろうが、悪質クレーマーに屈していたらいつまでも彼らのマスクを外すことはできないだろう。感染が怖いのであれば、自らマスクを着用するとか、それこそ有人窓口を利用せず券売機やネット予約を活用するなど「自己判断」により対応をすればよいと思うのだが…。

「アフターコロナ」には一歩近づいたが、まだまだ出口は遠い。そんな印象を持った今回の政府方針である。

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