新幹線での新型コロナ感染リスクは?

「Go To トラベル」今、旅行に行っていいのか迷う理由とその結論

「時期尚早」という意見が声高に叫ばれる

「Go To トラベル」は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う自粛要請などを受けて、大きな打撃を受けた観光業界を支援するために、政府が主導して進めている「Go Toキャンペーン」の一環だ。旅行に対して補助金を出すことで、大きく落ち込んだ旅行需要を喚起することが目的で、このままでは崩壊する日本の観光業を少しでも持ち直すための苦肉の策だと思う。(何故、観光業だけ?という疑問もあるだろうが、本質から外れるためそこは考えない事にする。)

しかしこの「Go To トラベル」。世間の声としては「何故今やるのか?」「時期尚早ではないか?」という声が多数を占めているように思う。マスコミも概ねそのような論調で報じ、休日の度に観光地に行っては観光客にインタビューをして回り、「こんな時に出歩いている」と憤る視聴者からの敵意を観光客に向けさせている。100歩譲って、そのような意図は無いように見せつつも、視聴する側からすれば、コロナウイルス感染の影響を報じるコーナーで同列に扱えば、視聴者の怒りを必然的に買うことは火を見るより明らかだ。

じゃあ、GoToはいつやるのが正しいのか?と問いかければ、恐らく、「コロナ後」が訪れた時にやればいい。と返ってくるだろう。

「コロナ後」は訪れるのか

「コロナ後」とは、新型コロナウイルス感染症の拡大が収束し、医療崩壊などのリスクが限りなく低くなった後の世界の事だろう。

よく引き合いに出される「スペイン風邪」は、収束までに丸々3年(1918年~1920年)かかっている。最終的には集団免疫を獲得したうえで終息した。もし、新型コロナウイルスが同様の経過をたどるなら、少なくとも2022年頃までは「コロナ後」は訪れないことになる。ただ、時代は21世紀であり、ワクチンの開発も進んでいるため、ここまで長期にわたって丸腰で闘うことはないだろうが。

しかし、新型コロナウイルスは、感染により免疫を獲得した後でも再感染・発症するという報道がここ数日(8月下旬時点)かなり報じられており、事実であるなら、集団免疫による感染拡大防止の大きな足かせになるのは間違いない。

このまま「コロナ後」を夢見ていたら、気が付けば観光業に限らず日本経済は間違いなく破綻しているだろう。

「今」、新型コロナに感染した場合のあまりに大きな代償

個人的には、「コロナ後」はそう簡単に訪れないと思っている。そのため、感染予防対策を十分にとったうえで、普段通りの生活に戻していくことが重要だと考えており、「Go To トラベル」もその一環だと思っているし、割と多くの方が内心そう考えているのではないだろうか。しかし、それにも関わらず、「Go Toトラベル」の出足が鈍かったり、時期尚早とかいう話が出るのは何故か。

それは、新型コロナウイルスに感染した時の「代償」があまりにも大きすぎるために、必要以上の恐怖心が国民に植え付けられているのが原因だ。

発症することによる身体的な苦痛や恐怖

新型コロナウイルスは、発症すると倦怠感や発熱などを引き起こし、悪化すると肺炎を発症し重症化することもある。しかし、基本的にはインフルエンザ様の症状が出て、インフルエンザのような特効薬がないことから対症療法をするしかないため、治療期間は長くなりがちである。もちろん、これらの症状による苦痛も当然だが、我々が真に恐れるのは次に紹介する「社会的な抹殺」である。

社会的に追い詰められることによる精神的な苦痛や恐怖

新型コロナウイルスに感染した場合、現在は感染症法上では暫定的に上から2番目の「2類相当」とされており、入院勧告などを行うことができる。また、重要な感染症という事で、感染発覚後は追跡調査などを行い、それらが(匿名とはいえ)公開される。

公開された情報をもとに、患者本人を特定しようとする動きがネット上では起こっており、実際に特定されるケースも多い。特定されたときに待っているのは、現代の村八分とも言うべき恥ずべき「制裁」である。これについては次項で詳しく書こうと思う。

幸いにしてこのような制裁を受けなかった場合においても、勤務先などに対して詳細を報告しなければならないことがほとんどだろう。そして出勤ができないことにより、仕事に大きく穴をあけ、残された人にも「濃厚接触者」のレッテルを貼ることになるかもしれない。会社が感染者に対し、表立って不利益な取り扱いをすることは一般常識のある会社ならまずないだろうが、同僚からの負の感情が全く無いという事はあり得ないだろう。

普通の生活が感染を境に急変し、現実世界においても、インターネット上においても精神に支障が出るようなレベルで叩かれる。それはまさに「社会的な抹殺」と言っても差し支えないレベルだと思う。

恐怖はやがて他人へ矛先が向かう

特に、患者の「不注意」による行動が目立つ場合、この「制裁」の動きは強くなる。実際に特定された場合、感染者の行動などがマスコミにより公表され、それが「不注意」によるものだと、より特化して取り上げられる。そうすると、個人名はもちろん、SNSのアカウントや自宅住所、勤務地まで特定され、執拗な嫌がらせや誹謗中傷が実際に起こっている。

また、これによらないものでも、ニュース等で「学校でクラスター」などと取り上げると、学校に対して嫌がらせや脅迫のような行為が行われている。

実際に、衛生機関から指示された事項を守らずに感染を拡大させる要因となったりした場合には、多少なりとも行動に対する責任が発生するはずだが、その責任の負い方としては、自分の行動を「ほとんど特定されるレベル」で説明することで果たしているのではないか。少なくとも、匿名の誹謗中傷を受ける事では決してないし、ましてや集団生活をする学校内で感染してしまったようなケースに対してまで中傷されたのではたまったものではない。

このように執拗に中傷をする人たちの行動は、感染に対する自身の恐怖感から来ている。心理学の世界でもよく言われることだが、他人を中傷するなどして蹴落とす行為は「自己保身」でよく見られる行動である。要は感染者の「落ち度」と、自身の行動を照らし合わせ、自分は大丈夫だという安心感を得るための行為なのだ。自身の行為は正義に満ち溢れたものだと信じてやまないため、感染者に対して中傷しているという自覚は一切なく、警鐘を鳴らしていると考えているためタチが悪い。

こうした空気により、例えば著名人が感染した場合や学校などの公的な組織で大規模クラスターが発生した場合に「申し訳ありません」と謝罪するケースが見られるが、恐らく「謝罪」をして「非を認める」といった行為をすることで、中傷をする人の溜飲を下がる。正しい行動かどうかはさておき、これにより、嫌がらせ行為は多少なりとも軽減されるのだろう。

最大のリスクはウイルスより人である問題

このような行動を取る人は、主にリテラシーが低い人が中心である。要は、情報があるにはあるが、それを冷静に分析・活用できていない状態の人である。つまり、物事の表面的な部分しか頭に入っていないため、「新型コロナウイルス=恐怖」でしかないのだ。このような人に対して、いくら冷静に論理立てて説明したところで糠に釘、暖簾に腕押しである。

このように、現在の新型コロナウイルス感染の最大のリスクは、高齢者や基礎疾患を持つ人を除き、「ウイルスによる病気より人による制裁」という本末転倒な状態となっている。多くの人がこの制裁怖さに、旅行に踏み切れないという状態になっているはずだ。

「2類感染症相当」からの指定解除で変わるのか

8月29日現在、新型コロナウイルスを、感染症法に基づく「2類感染症相当」の扱いから外して「5類」に再分類する動きが出ている。5類とは季節性インフルエンザなどと同様の区分であり、仮に2類感染症相当から外れれば、入院勧告やクラスターの追跡などが行われなくなる。

これには賛否両論あるだろう。しかし、流行から半年以上を経過し、ある程度国内でも患者のデータが取れたからの判断でもあると思われる。当然、高リスクの人にとっては受け入れがたい検討だが、経済を回していくべき立場の人にとっては、強烈な制限がかかる2類相当よりは5類となることは朗報であろう。しかし、区分が変わったからといっても、個人レベルでは引き続き感染症予防策を十分に取って感染を拡大させないようにという意識は当然ながら必要だ。

もし、本当に5類相当となるのであれば、テレビでも大きく取り上げられるだろう。前述の「リテラシーが低い人」が、これを聞いて一転して「安心だ」とばかりに暴走をしないかは心配であるが…。

感染症対策を十分に取れば旅行に行っても構わないと思う

ここまで書いたように、コロナ禍での旅行には、個人的には感染症予防対策を十分に実施したうえで、「3密」を避けられる感染リスクの低い場所(都市部から離れた温泉など)に旅行に行くことは問題ないと考えている。また、都市部から離れていても、著名な観光地は人が密集している可能性がある。そういった場合は無理して3密空間に飛び込まず、時間をずらすなどの対応も必要となるだろう。旅行の際の感染症予防は、GoToトラベルサイト内の「新しい旅のエチケット」に細かくまとめられている。コロナ禍に旅行に行く場合、これを守ることは最低限の義務と考え、必ず守ってほしい。

また、GoToトラベルの対象となっている事業者(ホテル等)側も、感染症対策に十分な対策を取ることが義務付けられており、対策が不十分な場合はGoTo事業者としての登録が取り消されるなどの運用がされている。この時期に登録が取り消されるとただでさえ厳しい経営状況がより厳しい状況になることは明らかであるため、事業者側としても感染症対策は本気で実施するだろう。

旅行者、事業者いずれも本気で感染症対策に取り組むことを前提とすれば、旅行に出かける事のリスクは、日常生活で通勤・通学する以上のリスクがあるとは思えない。よって、GoToトラベル事業が時期尚早だとも思わないし、旅行に行ったからといって何か問題があるわけでもないと思うので、旅行を計画している人は、繰り返しになるが十分に感染症対策に気を付けたうえで楽しんでほしいと思う。

参考 新しい旅のエチケットGoToトラベル 参考 参画事業者のコロナウイルス感染防止対策についてGoToトラベル

帰省と旅行の違い 特に高齢の親族との接触は慎重に

一方で、旅行と似たようなものに帰省がある。これには慎重にならざるを得ないと考える。旅行と違い、帰省の場合は帰省先に高齢の親がいるケースがほとんどではないだろうか。新型コロナウイルスは既報の通り、高齢者ほど重症化しやすい病気である事に間違いない。

帰省をする側の人間は若い世代が多いので、例え感染した場合でも軽症で済むかもしれないが、仮に自分が帰省先に持ち込んだ場合、発症した親世代は症状が悪化するリスクが高まるだろう。何をもって安全と言えるわけではないが、旅行と比較した場合、帰省の方がリスクが顕在化する危険性は高いと言えるだろう。

まとめ:旅行には行ける。ただし、リスクの評価は慎重に

ここまで書いてきたように、個人的にはGoToトラベルで旅行に行くこと自体は責められることではなく、全く問題ないと思っている。ただ、現時点では感染者に対し、いまだに社会的な制裁が大きいことは、紛れもないリスク要因だろう。

また、単なる旅行ではなく、帰省を伴う場合は、万が一の親世代への感染リスクといった部分も考慮する必要がある。こういった部分については、誰が判断してくれるわけでもなく、個々の事情もあるため単純に与えられた情報だけで判断できる話でもない。旅行を考える皆様は考える力をもった「大人」であるだろうから、旅行によって得られるメリットとリスクを正しく検討したうえで、自らの判断でどうするかを決定する力が必要だろう。

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