新幹線を利用するうえで知らないわけにはいかない「指定席」と「自由席」について、その違いと両者のメリットについて解説してみます。指定席は、使い方にもよりますが必ずしも自由席より優れているとは限らないので、賢い使い分けかたについても紹介してみようと思います。
目次
指定席は、乗車日、乗車列車、乗車区間、座席が定められており、必ず座席が確保されています。座席を確保するサービスの対価として、自由席と比較した時に追加料金が必要となります。詳細については、以下のページをご覧ください。
基本的に、列車内の設備は指定席も自由席も一緒ですが、山陽・九州新幹線を走るみずほ号、さくら号は、指定席と自由席で座席グレードに差があります。
(指定席は2列×2列シートで広い。自由席は2列×3列シート)
また、指定席で気を付けなければいけない点としては、払い戻しです。乗車券や自由席特急券であれば、一律220円の払い戻し手数料を支払うことでで払い戻しができますが、指定席券は、乗車2日前までに払い戻しをした場合は340円、それ以降、列車の出発前までは料金の30%もの払い戻し手数料が必要となります。
このように、指定席は座席が確実に指定され、指定された列車に限っては必ず着席できるため便利ではあるのですが、追加料金が必要であったり、払い戻しする場合の手数料が高く設定されていたりと、すべての面において自由席より優れているわけではありません。
これらを踏まえて、指定席のメリット・デメリットをまとめてみました。
- 座席に確実に座れる
- 比較的階段に近い位置に乗車口がある
- 並ぶ必要がなく、列車の到着ぎりぎりまで時間を使える
- みずほ号、さくら号は、自由席と比べて座席のグレードが高い
- 自由席と比較して追加料金が必要
- 買った後の列車の変更が面倒
- 払い戻し手数料が自由席券と比較して高い
自由席は、乗車日と乗車区間のみが定められており、座席が必ずしも確保されていません。列車が指定されていないので、乗車日であればどの列車に乗車しても大丈夫です。ただし、乗車できるのは「自由席車両」のみです。
自由席のメリット・デメリットは、基本的には先ほどの指定席のメリット・デメリットの裏返しになります。メリットの1つの「特定の区間において大幅に料金が安くなる」というのは、主に隣接駅間の利用における「特定特急券」を利用した場合です。
- 指定席と比較して料金が安くなる
- 列車に乗ってから座る場所を自由に選べる
- 時間の制約がない
- 特定の区間においては大幅に料金が安くなる
- 座席に確実に座れる保証がない
- 座席は先着順なので、座りたいなら列車到着前から列に並んで待つ必要がある
- 乗車口が階段より遠い
指定席を利用する場合、座席に必ず着席できることによるサービスの対価として、追加で330円~730円の料金が必要です。料金に幅がある理由は、JRの定める「閑散期」「通常期」「繁忙期」によって指定席料金が異なるためです。閑散期であれば安く、繁忙期であれば高くなります。また、のぞみ号・みずほ号の指定席を利用する場合は、速達サービスの対価として、さらに追加で210円~640円の料金が必要です。
しかし、勘違いしてはいけないのは、「のぞみ号」や「みずほ号」の自由席を利用する場合は、一律で自由席特急料金が適用されるため、加算料金はありません。
以下に、自由席の料金を基準としたときの、指定席利用料金を説明します。
自由席の料金をn円とした場合の料金体系
自由席→n円
指定席(のぞみ・みずほ除く)→n円 +(指定料金 330円~530円~730円)
指定席(のぞみ・みずほ)→n円 + (指定料金330円~530円~730円) +(のぞみ料金 210円~640円)
・指定料金は、通常期が530円、閑散期が330円、繁忙期が730円
・のぞみ号・みずほ号の指定席を利用する場合、距離に応じて210円~640円加算。ただしみずほ号を九州新幹線内のみ利用する場合は加算料金不要。
つまり、指定席だと、繁忙期+のぞみ・みずほ料金で、最大1,370円(繁忙期730円+のぞみ料金最大640円)の追加料金が発生する可能性があります。
(例)名古屋→東京間における通常期の指定席・自由席料金の比較
自由席:4,180円(+0円)
指定席(ひかり号・こだま号):4,710円(+530円)
指定席(のぞみ号):4,920円(+740円)
先ほど少し触れた「特定特急券」ですが、以下の記事で詳しく説明しています。なお、指定席と自由席の料金の差が基本的には無い「エクスプレス予約」においても、特定特急券とは大幅に差額があり、特定特急券の方が安くなります。
基本的には隣接駅間を利用する場合は、自由席を利用しましょう。
新幹線回数券を利用することで、通常料金より少しだけ割引された金額で指定席を利用することが可能です。利用前に券売機や有人窓口で、座席指定を受けておかないと、車内では座席の指定が受けられません。(自由席に乗車することなります)
これをJRの窓口で購入する場合、3か月の有効期間で6枚綴りのものを買うしかないため、個人で購入する機会はまず無いでしょう。基本的には、金券ショップで回数券のバラ売りを入手して使用することになります。
ここ数年、エクスプレス予約およびスマートEXををJR東海としては非常に推奨しているようで、紙のきっぷによる他の割引商品というのは、かなり姿を消してしまいました。
ぷらっとこだまに代表される「旅行商品」を使う場合です。確かに安いのですが、払い戻しや変更に関する制約が厳しすぎるうえに、乗り遅れに関する救済は基本的にありませんので、リスクが高くなります。新幹線駅までの経路がJR線のみの場合や、主経路が絶たれた場合でも他のアクセスルートが確保されている場合など、リスクを確実に回避できる環境であれば有用かと思います。
エクスプレス予約、もしくはスマートEXの会員になることで、東海道・山陽新幹線の指定席を安く購入することが可能です。概ね、通常購入する自由席料金に近い金額でインターネットから予約可能となり、利便性は非常に高いです。ただし、たまにしか新幹線を使わない(年に1~2回程度)であれば、年会費が1000円程度かかってしまうため、おトク額が少なくなってしまいます。
クレジットカードが使えるのであれば、スマートEX会員となることで、お得なEX早特21が利用できます。 専用のクレジットカードを作る必要もなく、高い割引率を誇る「早特」を使えるのは、非常におススメです。
ここまで見てきたように、自由席と指定席は必ずしも指定席が有利というわけではありません。両者を使い分けるポイントとしては、乗車する駅や乗車区間、列車種別などを考えて決める必要があります。以下に、指定席と自由席のどちらを選ぶかの基準について、代表的なものについて紹介します。
のぞみ号の自由席は、1号車~3号車までしかありませんので、途中駅から自由席に乗車することは博打です。駅間も長いため、座れなかった時には長時間の立席乗車を強いられます。上り方向であれば京都、名古屋から。下り方向では品川、新横浜からの自由席利用は、座れない可能性も考慮する必要があります。
GWやお盆、年末年始など、特に混雑する日を除けば、始発駅から乗車する場合に限っては、「のぞみ号」でも自由席で十分なことがほとんどです。
「こだま」号は、主に普通車指定席が7号車、11号車、12号車の3両しかなく、指定席が混み合う傾向にあります。その一方で、自由席車両は1~6号車、13~16号車の10両もあるため、静岡以西の区間ではだいたいガラガラの状態です。そのため、こだま号に乗車する予定なら、どうしても座席を確保しておきたい事情がない限りは、自由席を検討する方が快適だと思います。