新幹線での新型コロナ感染リスクは?

エクスプレス予約(EX予約)が大幅値上げの大改悪。2023年秋頃から実施

5/30の20時半頃、スマホのEメールに1通のメールが届いた。

『【お知らせ】「エクスプレス予約」における価格体系の見直し及び新早特商品の発売について』と題されたそのメールには、「価格体系の見直し」という一般的には「値上げ」しか想起されない言葉が使われており、悪い予感しかしなかったのだがその内容は我々ユーザーにとっては悪い方向への衝撃的な大改悪であった。

今日はその改悪内容を紹介することにする。

参考 「エクスプレス予約」おける価格体系の見直し及び新早特商品の発売についてEX予約公式

EX予約会員向けの通常商品(EX-ICサービス・e特急券)の大幅値上げ

EX予約最大のメリットを捨てることを選んだJR東海

エクスプレス予約には、発車数分前までいつでもネットで座席を指定して購入できる「通常商品」と、〇〇日前なら安くしますよという「早特」商品が存在している。

早特商品は乗車する列車が絶対に決まっているときは良いのだが、東海道新幹線の過密運転ぶりは説明するまでもないところだ。そのため、乗車直前に列車を変更するなんてことは日常茶飯事であり、その要望に最大限応えてきたのが、今のエクスプレス予約のサービスだと考えている。

エクスプレス予約通常商品の最大のメリットは、直前までいつでも予約を変更できるうえ、のぞみに乗ろうがひかりに乗ろうが「自由席と同じ料金で指定席が利用できること」である。

今回の改悪で、JR東海はその「エクスプレス予約最大のメリット」を投げ捨てたようだ。

改悪ポイントは主に以下の4点である。スマートEXに関しては原則現行据え置きであるため、EX予約会員への改悪が目立つ形となっている。

  • 指定席利用時の通常料金との割引額の縮小(値上げ)
  • EX予約会員ならこれまで同額だった「自由席」「指定席」は指定席の方が高くなる
  • 年間通じて一律料金だったEX予約会員にも繁忙期・最繁忙期などの割増料金が適用される
  • 「のぞみ」「みずほ」利用時、紙のきっぷと同等の「のぞみ料金」が加算される

東京~名古屋間では現行から最大970円の値上げも

具体的にどの程度の値上がりになるかは以下のとおりである。

東京~名古屋間の改悪前後まとめ(EX-IC利用時)

【現行】
  • 10,310円(のぞみ普通車指定席・年間通じて同一料金)

【改悪後】

  • 11,280円(のぞみ普通車指定席・のぞみ加算210円含む・最繁忙期)+970円
  • 11,080円(のぞみ普通車指定席・のぞみ加算210円含む・繁忙期)+770円
  • 10,880円(のぞみ普通車指定席・のぞみ加算210円含む・通常期)+570円
  • 10,680円(のぞみ普通車指定席・のぞみ加算210円含む・閑散期)+370円
  • 11,070円(ひかり・こだま普通車指定席・最繁忙期)+760円
  • 10,870円(ひかり・こだま普通車指定席・繁忙期)+560円
  • 10,670円(ひかり・こだま普通車指定席・通常期)+360円
  • 10,470円(ひかり・こだま普通車指定席・閑散期)+160円
  • 10,310円(自由席利用時)+-0円

※のぞみ・みずほの加算料金は区間によって異なる。
※繁忙期は200円増、最繁忙期は400円増、閑散期は200円引
※季節料金(最繁忙・繁忙・通常・閑散)は全区間一律

改めて並べてみるとえげつない値上げである。通常期の東京~名古屋間ですら570円の値上げで、時期によっては970円と1,000円近い金額が一気に値上げとなる。

一方のスマートEXは原則として価格据え置き

もともと値下げ幅の小さいスマートEXは動きなし

一方で、「スマートEX」による利用は一部を除き現行据え置きの価格設定のままである。

「スマートEX」は、「エクスプレスカード」以外のクレジットカードでEX予約システムを利用できるサービスである。エクスプレスカードを利用するEX予約会員と比較するともともと割引額が小さく、現行でもほぼ駅での購入と同じ価格となっているため、値上げの余地が無いというのが正確なところのようだ。

「早特商品」は引き続きスマートEXでも利用できる

一方で、これまでもあった「早特商品」についてはEX予約会員でもスマートEX会員でも引き続き利用できる。もともと「スマートEX」は年会費のかかる専用カードを作るまでもないライトユーザーをターゲットにしたサービスなので、飛び乗り需要よりは「じっくり予定を決める」ユーザーが多かったのではないだろうか。そういった層にとって、この厳しい値上げが発表されたにも関わらず引き続き早特商品が提供される事は朗報とも言えるだろう。

わざわざ専用クレカに年会費を払ってまで維持する必要が薄く?

「EX予約会員」であることのメリットはどこへ

今回の改悪は、専用クレジットカード(年会費1,000円+税)を保有している「EX予約会員」が狙い撃ちされた格好となった。前述のとおり、スマートEXに関してはもともとたいした割引をしておらず、値上げの余地が無いためと、紙の切符の値上げにはベースとなる運賃改定が伴うため、国交省への申請など手続きが非常に煩雑となる。そのため「取りやすいところから取る」を地で行くと、もともと割引の大き目な商品の割引率を下げるのが手っ取り早かったのだろう。これにより、相対的にEX予約会員であることのメリットが薄まったのは間違いない。

改悪により、EX予約会員であればこれまで自由席と同一料金で年間を通じて利用できていたものが紙のきっぷと同じ複雑な料金体系に戻り、それを防ぐために「早特」に縛られて自由に列車や席を変更することすら憚られるようになる。唯一EX予約会員であることのメリットといえば「グリーンプログラム」だが、これも本当に頻繁に利用する人以外、恩恵に預かることはないシステムである。

EX予約会員が真に求めているのは、プレスに書かれているような

新幹線と、ホテルや旅先での交通手段、観光プラン等のご旅行全体をシームレスに予約・決済

が、できることでもなく

ご乗車日の約1年前から指定席をお申し込みいただけるようになる

でもなく、いつでも割引料金で直前まで列車を変更できることなのではないだろうか。

このサービス拡充をしたから、じゃあ通常商品を値上げします。というのは、ユーザーを無視した全く見当違いの「サービス拡充」である。わざわざ専用のクレジットカードを持たされ、年会費まで払っている身としては、年に数回の利用ではとても元が取れず、取れてもトントン程度。これではリスクを冒してまでカードを保有するメリットもないだろう。というのが率直な感想である。

かつての「経費はひかり料金/自由席料金しか出さない」が戻ってくる

今ではすっかり笑い話になってしまったが、EX予約が今ほど普及していなかった時代、「のぞみ」と「ひかり/こだま」では、料金にかなりの差があったため、出張に行くビジネスマンたちに支給される経費は「ひかり/こだま料金」もしくは「自由席料金」しか認めないという会社があったようだ。

EX予約サービスが世に広く浸透し、のぞみだろうがひかりだろうが、一律の料金で乗車できるようになり、そんな問題はとっくに過去の話になったものだと考えていた。

しかし、今回の改悪で、再び「のぞみ」と「ひかり/こだま」。さらには「指定席」「自由席」で金額の差が生まれることになってしまった。通常の会社であれば、当然仕事のパフォーマンスを最大限にするため、最速で目的地に着ける「のぞみ」の金額を支給してくれるのだろうが、少しでも節約したい・苦しい会社などは「自由席料金」分しか認めないというケースが、再び散見されるようになるのではないだろうか。

2023年秋、エクスプレス予約に激震が訪れようとしている。続報があればまた記事にしたいと思う。

1 COMMENT

やす

今日来たメールに、

> また「EXポイント」の新設に伴い、エクスプレスカード会員向け「グリーンプログラム」サービスを終了します。

と書いてありますね…
宿泊費や観光の費用?に使えるようですが、日帰りの出張とか、ただ帰省するために新幹線に乗りたいだけ、という利用者にとっては、全くどうでもいいです。
ひどい改悪としか思えません…
一年前から予約可能とか、全然必要ないです。
ものすごくガッカリしています…

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